【ネタバレ考察】漫画『オメガトライブ』が超面白い!今こそ社会不適合者のヤツは読まなきゃ納豆ソバ!【新人類】
知る人ぞ知る隠れた名作『オメガトライブ』
このマンガ、めっちゃ面白い・・・!
進化した次世代の人類「オメガ」を中心に、
国家を超えた新人類同士のバトル!!
国会での政治闘争!!
自衛隊秘密部隊によるクーデター!!
が巻き起こるという、もう詰め込みすぎなくらいのストーリーだ。
さらに主人公の吾妻晴は
親父に殺されかけた引きこもり。
第二の主人公、梶秋一は
史上初の族出身の総理大臣を目指すカリスマヤンキー。
ライバルとなる他のオメガは
合衆国ファーストレディ、中国一の大富豪、中東の王子、ローマの枢機卿、そして行方不明の第六の男…と、敵味方問わずキャラ設定が超魅力的なんだ。
今回はこの『オメガトライブ』を紹介したいと思う。
このマンガ、社会不適合者は読まなきゃ迷わず納豆ソバ!!
目次
あらすじ
まずなんと言っても、複雑なストーリー設定が魅力的だ!!
あらすじをWikipediaから引用しよう。
アメリカのオメガである大統領夫人イブ・L・ホークスからオメガ同士による次世代の進化を賭けた『種の衝突』の事実を聞かされた晴は、かつての自分と同様に社会に適合できない若者たちを取り込み、日本の実権を握るために3年以内の祭り(クーデター)の実現を目指す。
押し掛け部下の謎の男桜一郎が率先して実務を担当する事により「究極種党」の発足にこぎつける。 過去に自らが通っていたセラピー事務所へ侵入した際に遭遇した引きこもりの若者「覆面の三人組」を配下に収め、全国の引きこもりから仲間を集める計画に乗り出す。
次のターゲットを暴走族に定め、巨大暴走族「極東連合」との対決を経て、そのリーダー梶秋一を同士とすることに成功する。”オメガトライブ(漫画) - Wikipedia
いやもうこれは読んでみないとわかんないだろ・・・
って感じの要素の詰め込み具合だ!
(ちなみに「究極種党」と書いて「オメガ党」と読む。)
オメガとは「新人類へと進化させるウィルス」に感染した者のこと。
WILLというウィルスに感染した吾妻晴。
WILLを含めてオメガウィルスは6種類存在しており、
それぞれに感染したオメガが、互いの種の覇権を賭けて闘う。
その「種の衝突」がストーリーの大筋となっている。
ちなみにこの「ウィルスによって進化する」という仮説は、実在する理論でもある。
コロナ禍の今だから知りたい『ウィルス進化論』
この『ウィルス進化論』。
実は日本の研究者によって提唱されたものでもあるんだ。
ウイルス進化説(ウイルスしんかせつ)は、自然淘汰による進化を否定し、進化はウイルスの感染によって起こるという主張。
中原英臣(新渡戸文化短期大学)と佐川峻(科学評論家)が主張した進化論説である。
人類はウィルスとともに進化してきたとするこの仮説。
とするなら、今起こっているコロナウィルスの存在意義も見えてくる感じがするよね。
それは紛れもなく、
進化
オメガトライブと同じく大事なテーマになっていくよ。
では解説に戻ろう。
ホモ・サピエンスは種の限界を迎えている!?
まずなんと言ってもこのマンガの本筋となるのは
「新しい人類」というテーマだ。
第2巻でWILLは、戸惑う晴に「種の限界」について語る。
全ての生物は
その種、自体の
“寿命”がある。
(出典:「オメガトライブ」コミックス2巻,©玉井 雪雄,小学館より)
WILLは言う、今この時代を生きている僕らの世代こそ
「種の限界」を迎えているのだと・・・。
このマンガは「滅びゆく旧人類」から
「新しい人類」が生まれ、
やがて「新しい人類の群れ」を築いていく
というストーリーなんだ!
なるほど。それじゃ
どんな者が新しい人類になっていくのか?
それは・・・
渇きを覚えている
社会的不適合者=「ハグレ者」だ!!!
新人類の特徴は社会不適合者!?
『オメガトライブ』のもう一つのテーマは、
主人公たちのバックボーンに現れている。
ライバルとなる他のオメガたちが、
アメリカ合衆国のファーストレディだったり、
中国一の富豪のバイオ科学者だったり、
中東の石油王子だったり、
次期ローマ法王を狙う枢機卿だったり・・・と、
いわば「持つ者」であるのに対して、
日本のオメガである主人公の吾妻晴は、
家で暴れ回るような引きこもりだった。
(そして父親に生命保険をかけられ、殺されそうになる。)
(出典:「オメガトライブ」コミックス1巻©玉井 雪雄,小学館より)
そして、晴からオメガウイルスを感染されて生き残り、
第二の主人公として覚醒する 梶くん こと 梶秋一は
暴走族 極東連合 の元リーダーで、
引退後はそのネットワークを生かして月収2000万を稼ぐカリスマヤンキー。
しかし安定した生活に飽き、なにか血沸き肉踊ることを待ち望んでいた・・・。
(出典:「オメガトライブ」コミックス5巻©玉井 雪雄,小学館より)
「引きこもり」と「ヤンキー」
水と油のような彼らを結ぶ共通点だったのは
「社会に適合できず、それ故の渇きを覚えた者」ということだった。
晴はのちに仲間となる「引きこもりの覆面三人組」にこう語る。
群に適応できないノケモノは、
野に下りケモノになるしかない。
(出典:「オメガトライブ」コミックス4巻©玉井 雪雄,小学館より)
と・・・。
社会的不適合者(ハグレ)にこそ、新人類として覚醒する素質がある!!!
というのが、このマンガのメッセージなんだ!
覚醒の条件は、真の絶望だ!!
だ・か・ら晴!
親の言うことに逆らわずっ、
ちゃんと死になさい!!
(出典:「オメガトライブ」コミックス1巻©玉井 雪雄,小学館より)
この衝撃的なセリフから『オメガトライブ』は始まる。
親が子を守るより、自分の身を守ることを優先する世代・・・。
それは、このマンガのテーマである「種の衝突」、
つまり、種族を育てたり、種族を守ろうとすることの
「正反対の行動」こそが
今、僕らの時代の普通な意識になっていないか?
という、作者の玉井雪雄先生からの問いかけのように感じる。
WILLは「種の限界」について、晴にこう語る。
究極の利己主義
親の子に対する感情の消失
親が子を喰う世代
(出典:「オメガトライブ」コミックス2巻©玉井 雪雄,小学館より)
これが、「種の限界」を迎えた種族の行動なのだと・・・。
実際の親子関係だけじゃない。
年長の世代が次の世代を育て、守り、譲っていくことが
生命の一種族としての、自然なあり方のはずだよね。
だけど、マンガの中の話だけじゃなくって
身の回りを見ても実際に
「究極の利己主義」
「親の子に対する感情の消失」
「親が子を喰う世代」
そんな空気感が、普通に時代を覆っているように思えないかな?
「Z世代と最近会話したけど、あまりにも幼稚でびっくりした。」
なんてSNSで呟くおじさん達がいるけど
「うるせーー!そんな俺らを育てたのはお前らの世代じゃねえか!!」
と言いたくもなるよね。
けれど実は、そんな「滅びゆく旧人類の感性」は
僕の中にも、きっとキミの中にもあるはずだ。
だから、このマンガは一見ただのぶっとんだ設定のバトルものに見えるけど
本当はすごくリアルな葛藤・・・
それも「種族としての葛藤」を描いている。
それはちょっと難しい言葉で表現すると
「社会的父性・社会的母性の欠落」
ということでもあると思う。
そんな深いテーマが、『オメガトライブ』の真の魅力なんだ!!
ラスボス「第六の男」(オメガトライブキングダム)
さて、そんな『オメガトライブ』
全14巻では完結せずに、
次回シリーズ『オメガトライブ キングダム』全11巻が
シリーズ最終章となる。
あらすじを再びWikipediaから引用するね。
それを打破するために研究者が発表した方法は、男と女に加えて「第3の性(トリプル)」と呼ばれる人間を交えて性交することだった。
このトリプルこそ「第六の男」そのものであった。
子供を作るためにトリプルを認める、認めないでアメリカ合衆国は3つに分裂。その内の1つは「第六の男」の影響下に、もう1つは自身が州知事に就いたイブ・L・ホークスの影響下にあり、ついには戦争状態に陥った。
そんな中、日本だけは諸外国と比較し、通常の出生率を維持していた。日本は鎖国し、世界は次第に「第六の男」による支配に落ち着き、オメガたちの争いにも決着が着いたかに思われた。
しかし、百数十年の時が流れ、日本を除くほとんどを「第六の男」型人類が占めるようになったとき、分散コンピューティングのように人類の脳を使って、人類の未来を計算した結果が判明する。
全にして個であり、個にして全という分裂増殖の「第六の男」型人類では、これ以上変することもなく、進化の袋小路に陥っていたのだった。 更に数千年の時が流れ、完全であるが故に多様性を失った「第六の男」型人類は、新型ウイルスによって一気に全滅した。 地球上の新たな覇者になったのは日本に残り原始時代のような暮らしに戻っていた日本オメガの子孫たちであった。そんな子孫を吾妻晴と同じ容貌をしたWILLが眺めていた。”オメガトライブ(漫画) - Wikipedia
おいおい、さらにすげえ展開になってんな!!
と突っ込まざるを得ない。
なんと、晴はインド出身のオメガ「第六の男」に敗れてしまうのだ!
(正確には次世代に勝負を託すのだが。)
そして最終巻、怒涛の展開で時は流れていく。
梶くんはついに総理大臣になり
中国オメガは老衰で死んでいき
イブ・L・ホークスは丸坊主になり・・・
そして第六のオメガは「分裂増殖」という特性を持ち
その特性を生かし、他のオメガたちを圧倒して繁栄していく。
第六のオメガはこう語る。
君たちの絶望は知っている。
その原因は何だ?
極論で言おう。
親と子だ。
(出典:「オメガトライブキングダム」コミックス11巻©玉井 雪雄,小学館より)
分裂増殖という進化の方向性は、親と子という関係性も、性別もなくなる。
それこそが「究極にして完全な進化」なのだと第六のオメガは言う。
そして分裂生殖という「第三の性」を武器に、
第六のオメガは「子どもが生まれなくなった世界」で
自分たちの遺伝子を急速に増やし、
地球を支配していく。
ただ、梶秋一政権によって鎖国状態となった日本国を除いて・・・。
すごいよね。
もうバトルの仕方が殴り合いとかじゃないからね。
第六のオメガはそうやって
じわじわと、闘うことなく勝っていくんだ。
この第六のオメガ、実在した数学者ラマヌジャンをモチーフにしている。
「数学」と「分裂増殖=コピー&ペースト」
という要素を見てみると
この第六のオメガは「人工知能(AI)」を表現してるんじゃないか?って
深読みもできるよね。
これはちょっと込み入った話になるから
ここでは深入りしないけど、
「第三の性」という要素も、
現実に「トランスジェンダー」という思想が将来、
「トランスヒューマニズム」
という思想と結びついていくんじゃないか?って言われてたりもするんだ。
トランスヒューマニズムっていうのは、サイボーグ技術によって
人類をアップデートしようとする思想のこと。
性を超えたら、次は機械と人間の境界を超える・・・。
そんな「人類のアップデート」が、
マンガの話じゃなくなってきている。
そんな時代だからこそ、
やっぱりこの時代に適合できない
ノケモノたちよ。
トランスヒューマンではない
「別の形の進化した人類」を目指すべく
立ち上がらないか?
怠惰に任され、旧人類の生き方にぼーっと流されるのではなく
野を下り、ケモノになる。
そんな生き方が本当はあるんじゃないか?
そんな熱いメッセージがこもったマンガが
この『オメガトライブ』なんだ!!!
・親が子を犠牲にするようになったらその種族は終わり!
・「コピー&ペーストの進化」がラスボス!
第1巻で晴は、自分の直感を信じて目の前の人を助けた。
その時のセリフがいいんだよね。
体中のどっか…
いや、体中の全部かも
……がっ!!
ほっとけねぇって。
(出典:「オメガトライブ」コミックス2巻©玉井 雪雄,小学館より)
WILLはこう返す。
今、確かに、お前の
impulse(衝動)を感じたぞ。
“衝動”はゲノムから発する
感情だ。
大事にしろ。
(出典:「オメガトライブ」コミックス2巻©玉井 雪雄,小学館より)
やべぇ・・・。
大事なんだよこの「impulse」がっ!!!
これを読んでいるキミは、
「虚構の感情」に流されず
「ゲノムから発する”衝動”」を
感じられているかな?
もし、impulseに従って
ケモノのように生きる・・・
そんな次世代の新人類のための教育機関が
実在したとしたら?
もしかしたら、「人類の進化」とか
「種の衝突」とか・・・
そんな「祭り」がもう始まっているとしたら?
新人類になりたいヤツは、この先へ!